市立東大阪医療センター 精神科
画像検査と多角的評価で認知症を診断
身体合併も取りこぼさない
市立東大阪医療センターは様々な身体科が充実しているだけでなく、精神科も有した稀有な総合病院だ。広く社会に貢献する体制と役割について、精神科部長の木内邦明先生にお話をうかがった。
認知症・MCI外来
認知症のタイプを判別
早期治療で進行を遅らせる
精神科では毎週火曜の午後に認知症外来を開設している。「認知症外来は脳神経内科でも開設していますが、そちらとの違いは妄想や幻覚などの精神症状が出ている患者さんも診療できる点です」。診療の流れとしては、まず地域のクリニックから市立東大阪医療センターの地域医療連携室へ患者が紹介される。その時点で、脳神経内科が診るか、精神科が適しているかが判定される。一般的に、認知症患者は認知症と診断されるのを嫌い進んで受診することはなく、ご家族が困るというパターンが多い。しかし付き合いが長く信頼関係を築いているかかりつけ医からの勧めであれば、比較的素直に受診してくれるそう。「まず一般的な身体の診察から始まり、MRI等を使った脳画像検査や、公認心理士による認知機能検査を行います。だいたいはその結果でアルツハイマー型、脳血管性、レビー小体型、前頭側頭型といったタイプを判別できます。それでも判別できない場合は核医学検査も行います」。レビー小体型認知症の検査に用いるDATシンチグラフィーや、アルツハイマー型認知症の検査に有効な脳アミロイドPETといった、核医学検査の設備が整っているからこそ詳細な検査が可能となっている。これらの検査で判別した上で、記憶障害、見当識障害といった中核症状の進行を遅らせる薬や、妄想、幻覚などの周辺症状を抑える薬による治療が始まる。
加えてMCI(軽度認知障害)外来も開設しており、こちらは物忘れで悩んでいる方が自身の判断で受診されることが多いそう。もしMCIと診断されても、アルツハイマー型の予備群であれば抗アミロイドβ抗体薬という効果の高い新しい治療薬があるため、早期診断によって進行を大きく遅らせることができる。

認知症認定看護師、公認心理士が所属し、多職種連携による診断、治療が行われる

脳の画像を元にした分かりやすい説明

病棟をラウンドし、認知症を併発している入院患者の対応についてアドバイスしている
総合病院の精神科として
薬の整理に対応 入院患者のリエゾンも
認知症以外にも、うつ病や統合失調症など精神科の一般疾患を広く診療しているほか、処方薬の整理の相談も受けているそう。「精神科のクリニックで睡眠薬や抗不安薬を処方されている方は、いつの間にか薬の種類が多くなり過ぎていることがあります。そういった方が内科等のかかりつけ医に受診した際、この薬の量は心配だということで、かかりつけ医からこちらへ紹介されることがあります」。睡眠薬などは依存性があるだけに、適切に服用するための整理も大切だ。
入院患者に精神疾患が見られる場合、精神科が協力するというケースもある。「食欲不振が続いて入院したけど、検査では異常が見られず、うつ病や精神疾患が疑われるという相談を受けることもしばしばあります」。実際に精神疾患と診断されると、精神科の入院病棟がある病院に紹介し、適切な治療が受けられるよう手配している。
がんの告知を受けて精神的なショックが大きく、不眠に陥る患者もいる。「当院には緩和ケア病棟があり、がん患者さんの心のケアについて相談を受けることもあります」。このように入院患者に対する精神科リエゾンも積極的に展開している。

認知症の検査では、日時や場所といった見当識、封筒に宛先を書いて切手を貼る作業能力、身近な物品の名称が言えるかどうかなども加えて、総合的に診断される
広く受け入れる精神科
合併の患者も診られる総合病院の強み
精神疾患のある患者が骨折やほかの病気を合併しても、身体科だけの病院では入院できないことがある。木内先生はそうした状況を憂いていたが、身体科と精神科の連携を模索している同センターを知り、その熱意に共感して赴任されたそう。「実際に、こちらでは多くの精神疾患合併の患者さんを受け入れています。ほかの病院には入院できず困っている患者さんの受け皿となっているという点で、地域医療に貢献できているのではないでしょうか」。これまで見過ごされていた患者の拠り所となり、適切な治療を提供できるよう努めている。
hospital data
地方独立行政法人 市立東大阪医療センター
TEL:06-6781-5101(代表)
東大阪市西岩田3-4-5

